内観は日本で生まれた優れた心理療法として、精神病院や刑務所の矯正教育にも用いられているところが増えています。また心理療法以外にも社員の研修として内観を体験させている企業もあります。会社の社長をしている方で、社員と良い関係を作り、信頼される経営者になるためにと、何回も訪れているという方もおられます。そして心理学者、教育学者、精神医学者による研究も盛んになり、海外にも少しずつ広がっています。
内観はもともと浄土真宗から生まれたものですが、昭和20年代に吉本伊信という人が、一般人への普及のために宗教色を一切除外して、今の形に整えました。内観については詳しい資料や書籍がたくさんありますので、関心をお持ちの方はそちらを読んでいただいた方がよろしいかと思います。
ところで「お世話になった方への感謝の気持ち」や、「自分自身がそれに対して何かして返した事はあっただろうか」、「迷惑をかけたことはなかっただろうか」、といったことを振り返ってみたときに、はっと気づかされることは誰にでもたくさんあるはずです。
しかし心が病んでいる時や、怒りや憎しみや悩みなどで心が一杯になっている時には、お世話になったことというのはなかなか思い出せなくなっていると思います。逆に言えば思い出せた時というのは、悩みや苦しみで一杯になっていた心が癒されはじめた瞬間だと言っていいかもしれません。
内観は両親や兄弟、身近な人に対する「お世話になったこと」「してかえしたこと」「迷惑をかけたこと」を、幼い時から一つ一つ丁寧に思い出しながら自分自身を調べていきます。1日に15時間、本やテレビや電話はもちろんのこと外出も一切禁止して、トイレと風呂以外のとき以外はすべて1メートル四方の屏風の中に座って7日間行います。
最初の2日間は慣れるのに苦しむ人が多いということですが、3日目あたりから心が落ち着き、「お世話になったこと」が思い出されてくるケースが多いと聞きます。お世話になったことや迷惑をかけたことなどの記憶が急に思い出されたとき、温かいものが一気に胸にこみ上げてきて、涙と共にあふれてくることもあります。その時から心の奥深くに氷のように冷たく固まっていたものが、少しずつ融かされていくのかもしれません。長年掃除していなかった心の中のごみのようなものも、涙と共に流されていくように思います。そういったことが何度か繰り返されていくうちに、長年苦しんできたトラウマや、まるで糸がもつれたように解決できなかった苦い想い出もほどけてくるかもしれません。いつも心の奥に暗い絶望感や人生観が巣食っていたのが、少しずつ明るい光が差していくような思いがするといった体験を語っておられた方もおられます。
この文章を読んで下さっている方の中で、もしどこに行っても解決の出来ない心の苦しみを抱えておられる方がいらっしゃいましたら、内観研修所に行くことを選択肢の一つに加えてみられることをお勧めします。だめでもともと、もしかしたら効果があるかもしれない、くらいに思っていいと思います。これまでいろいろやってだめだったという場合には、なおさら行ってみる価値はあるかもしれません。
内観に行く前にこう思っていた人がいました。他の人は治っても私はもしかしたらだめかもしれない、上手くいっても3割くらい良くなったらいいほうかもしれない、もしそうなら効果が出るまで何度でも研修所を訪ねよう。しかし1週間で、その人は本当に信じられないことですが、長年苦しんでいた症状が改善されていきました。もちろんどの程度消えたかはわかりませんし、行っても効果のない場合もあるかもしれませんが、チャレンジするだけの価値は十分あると思います。もし完全に治らなくても、自分の中の何かが変わり、これからの人生にきっと何らかの光が見出せると思います。
もちろん心の病や悩みといった問題だけではなく、自分をもっと変えたい、人間的に成長したいという目的でも、きっと行ってよかったと思っていただけると信じます。
詳しいことは大きな書店や図書館に行けば、「心理療法」というコーナーにきっと何冊かの内観の本があると思います。
またパソコンをお持ちの方でしたら、「内観」という単語でホームページを検索していただければ、全国の内観研修所の案内や体験談も読むことが出来ますし、私のこの文章よりももっと参考になります。
このページが、あなたの人生がもっと豊かになるための良い参考になっていただければ、望外の幸せです。 |